 |
「蹴りたい背中」
著者 綿矢りさ
単行本 140p
サイズ(cm) 182x128
出版社 河出書房新社
ISBN 4309015700
発行 2003/08/26 |
スゴイ。
まさにその一言が読んでいる間何度も何度も口から出ていた。
第130回芥川賞を取ったから読んだんだけど、「スゴイ」の連発は芥川賞を取ったから言ったわけじゃない。
本はテレビとは違う。映画とも違う。写真とも違えば、音楽とも違う。
真っ白な紙の上に黒い文字だけが並べられている世界。
その与えられた条件の中で読者をその世界に引き込み、離さないのは情景を描く描写である。
それがスゴイ。
蹴りたい背中の世界から離れられなかった。
実際、友達と遊ぶ前に読んでいて、待ち合わせに3時間も遅刻させた「ハマりきった女的存在」であった。
また、緻密さは心情描写にも現れている。
奥深い。作者は未成年でありながら、どこまで深く自らの内に入って行くのか、と危惧した程だった。
それが、登場人物と読んでいる自分を同化させる。
主人公のハツ、にな川、絹代の3人は、多くの若者それぞれ一人一人の多様な内面を表現していると感じる。
物語に同化したぼく自身、ハツのようであり、にな川のようであり、また絹代のような一面を持っていると感じたからだ。
それがミクロで見た視点。マクロで見れば、
その3人は、今の若者世代全体を大まかに表現しているように思う。
周りには、ハツのような人物もいて、にな川のような人物もいる。そして、絹代のような人物もいる。大きくその3色で分かれるような気がするのだ。
この本から多くの人が、ぼくが思う本の醍醐味を感じれると思う。
それは、「誰よりも親しみを感じれる自分と似た存在が本の中にいる」
ということだ。 |