映画「突入せよ! あさま山荘事件」
製作年 2002年
製作国 日本
配給 東映
キャスト(役名)
役所広司(佐々淳行)
宇崎竜童(宇田川信一)
伊武雅刀(野間本部長)
串田和美(丸山参事官)
山路和弘(石川警視正)
スタッフ
監督 原田真人
製作 佐藤雅夫、谷徳彦、椎名保、熊坂光
プロデューサー 鍋島壽夫、濱名一哉、鈴木基之
原作 佐々淳行
脚色 原田真人
警察。
いつもやんちゃをしている自分にとっては「かくれんぼの鬼」とまではいかないが、一呼吸おいてしまう存在である。なんせ話が長い。細かい。そういう奴としゃべるのは苦手なのだ。
が、この映画を見て、そんな警察への思いは変わった。
1972年2月19日、もう30年以上も前の話である。
長野県あさま山荘で女性を一人人質に取り5人グループが立てこもるという事件が起こった。知っている人も少なくないだろう。あの「あさま山荘事件」である。
この映画はその事件発生から解決まで事実に基づいたシナリオで、原田監督独特の視点で描かれている。
事件が発生。現場のあさま山荘がある長野県に捜査本部が置かれた。
捜査本部が置かれれば、事件は警視庁が指揮することになり、長野の県警はその警視庁から応援要請を受けるという形になる。
事件がいくら自分たちの管轄の県で発生しても、一旦捜査本部が設置されれば捜査は警視庁が中心となって進めて行く。
東京にある警視庁の警官たちが長野県へと向った。
しかし、そこで事件とは別の問題が起こる。それは長野県警とぶつかり合いだった。
警察組織内にいくらルールがあり上下関係があったとしても、現場のある県警は自分たちで事件を片付ける、という一警察官としての使命感、プライドがある。
またそんな警察内部の出来事と同時に、新聞やテレビ局等に発表する警察のマスコミ対策、捜査本部での作戦会議、突撃前の警官や人質の家族の思い・・・・、といったリアルなストーリーが進行していく。
最後の30分、この映画はクライマックスに突入して行く。
人質が身柄を拘束されているあさま山荘への突撃シーン。
人質の身柄が確保できないままも、警視庁と長野県警はあさま山荘に突撃した。
その突撃するシーンをブラウン管を通して傍観していて、ある一つの事柄を考えさせられた。
それは、「もしかして警察という仕事は自分に最も性の合う仕事なのかもしれない」ということだった。
クライマックスの突撃シーンでぼくが最も同感し、感動したのは次のシーンだった。
犯人全員を確保した時、警察官の一人が言った。それまでの何日にも渡る銃撃戦で同僚の警察官仲間を犯人に銃で撃ち殺されている。
「こいつら、許せません!」
涙ながらの訴えだった。
警視庁の人間であるあさま山荘事件の指揮官役である役所広司は、そんな彼に興奮した面構えでこう答えた。
「髪の毛上げてゆっくりカメラの前、全国の茶の間の前に顔を突き出してやれ!」
実際には出来ない行為だった。犯人の人権、ということが問われるからだ。しかしそれでも本当にやれ! とでも言うように熱く言った。
この言葉はぼくが映画を見ていて待ちに待っていたセリフだった。
同僚の警官仲間何名かが犯人に打ち殺されている。もしぼくがそんな状況に立てば、犯人の頭に10発以上ぶっぱなしたい気持ちになる。仲間が殺されたんだ。気持ちどころか行動に移してしまう可能性は高い。
テレビのニュースキャスターが言う「犯人の人権」はおそらく考えられないだろう。
悪いことをして自分がヤバくなったらおとなしくなる。で、そこで人権がどうのこうのあるが、人権も糞もないだろう、犯人は相手の人権を、命を無関係に奪ったのだから。
ぼくも悪さをする。だけど、自分がやったからにはされても仕方がないと思う。それは事件ごとだけじゃなく、身近なこと、恋愛やイジメ、何でも同じだろう。
一発どつかれたら一発どつき返したくなるのは人間の正常な心理だ。
別にぼくが武闘派であるとか、体育会系であるとか、そういうんじゃない。
LOVE AND PEACEという言葉は大好きだ。でも、自分の周囲にいる人がやられたらそんなこと言ってられないんじゃないか? ほんと素直にそう思うだけだ。
プラス、それがLOVE AND PEACEにもなるのだと思う。イジメをする奴は口でどれだけ言ってもイジメられなきゃわからないだろう。浮気する奴は浮気されなきゃわからないだろう。実際、ぼくはそれで重みを知った。経験を通して「目には目を、歯には歯を」という言葉を重く感じている。
その結果としてぼくが学んだのは、
「後で謝るようなことやったらするな」
ということだ。
これは常にストイックに追い求めていきたい。自分の人生の目標である。
ぼくは自分がこの映画の犯人だったらどうするか? 考えた。
答えはすぐに出てきた。覚悟するから自殺するに違いない。
だから、そういうことをやらないんだと思う。反対から言えば「だからやるな」ってことなんだと思う。
この映画を見終わって、ぼくの警察に対する考え方はいくぶん変っただろう。
具体的に何かできるわけじゃないけど、素直に警察官の方々にはがんばってもらいたいという気持ちだけが心の中にあった。
この映画を見る前と見た後では、確実にマイナスな存在からプラスな存在に変わっていた。
もし、自分にできることがあるとするならば、「国民みんなで決めた『悪いこと』をする奴は許さない」という警察の邪魔をしないようにすることだと思う。
また、警察は熱くて、命がけの素晴らしい仕事だとも思った。