おれはとある花火大会に来ていた。約20万人、人、人、人で会場はごったがえしている。
打ち上げは夜8時前。今は6時で、まだ2時間もある。
おれは女の子を連れ、場所探しを始めた。
どこから打ち上がるのか、この花火大会にはお互い初めて来たのでそんなことはわからないが、適当だと思われる場所を確保し、二人でビニール製のシートを引いた。
「ここで見れるかな?」
「うーん、どやろ?」
「まぁ、えっか」
「うん、見れると思うし。
それより何か飲む?」
「そやな、 ウーロン茶がええな。ちょっと腹減らへん?」
「 じゃ、ついでにたこ焼き買って来るね」
女の子はそう言って立ち上がった。財布を片手にテキ屋の方へと歩いて行く。
「なんか、ええ感じやなぁ」
女の子の後ろ姿を包み込むように夏空が広がっていた。
空は鮮やかなほどに青い。
おれはシートに寝転び、仰向けになった。眼前に青空が広がっている。キレギレの雲、そよ風、時折見える飛行機・・・・。
おれの表情は和らいだ。すーっと、そんな表現が似合うだろう、静かな気持ちになった。
「どうしたん、にやけて」
「おっ」
女の子がたこ焼きをぶら下げて、おれの顔を覗き込んだ。
「にやけてた?」
「うん。
空青いね」
「うん。青い、しデカイ」
女の子はおれの隣に寝転び、仰向けになって夏空を見つめた。
少しの間、女の子は空を見つめたまま何も言わなかった。
おれも何もしゃべらなかった。
その時、おれは幸せを感じた。
これはおれの理想郷である。
いつの日か、こんな時間が過ごせたらうれしいなぁ、と自分勝手に思っている。
「にやけてた?」
「うん。
空青いね」
「うん。青い、しデカイ」
現実では、
「にやけてた?」
「うん、アホみたいな顔して」
「あっそ」
であるのだが・・・・。
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