世の中には変えられないものがある。
土の色は変えられない。
親子関係は変えられない。
時の流れは変えられない。
そんなことはわかってる。
でも、どうしても変えられない事実を変えたい時がある。
運命は変えることはできないのだろうか・・・・。
運命を変える。
これは叶わない願いなのかもしれない。
未成年だったあの頃のように生きたい・・・・。
ただそれだけだ。
それ以上は何もいらない。
あの頃が手に入るとするならば、死んだっていい、とさえ思ってる。
大人になってしまった以上、変えられないものなのか・・・・。
でも、でも、もしできるのなら、おれはいつ死んでもいい・・・・。
イエスタディ・ワンス・モア
なぁ、昨日よ、もう一度・・・・。
それを叶えてくれるのなら、おれは死んだっていいさ。
加藤が自殺してから、最初にみんなに電話をかけたのは菊地だった。
これまで菊地から電話がかかってきた覚えなんかない。
菊地は友達のことを誰よりも思っていたが、でも誰よりも格好を付けたがる恥ずかしがり屋だった。
わかりえない感覚かもしれない。
友達に電話をかけることすら、菊地にとってはとても照れる行為だった。
そんな菊地が電話をかけてきた。
そうなったのは、加藤の死以外何ものでもなかった。
菊地は良に電話した。
「あぁ・・・・」
うかない返事で良は答えた。
良もまた、菊地と同じようにこの2週間を生きていた。
毎日のほとんどの時間を部屋の中で過ごし、誰とも会おうとしなかった。
加藤の葬式が終わって1週間が経った頃、ひさしぶりに携帯を手にすると、アルバイト先から何十件と着信が入っていた。
「あ、そうか・・・・」
良は携帯を見て一人、そうつぶやいた。
アルバイトのことなんか、完全に忘れていた。
加藤のこと、そして、自分たち仲間のことだけをずっと考えていた。
留守録にメッセージが入っているか確認した。
4件。
聞くまでもなく内容はわかっていた。
良は携帯を床に落とし、ベットにうつむきに寝転んだ。
「なぁ・・・・、おれたち何にずっとこだわってきたんだろう」
菊地は突然そう言った。
「・・・・」
良は何も言わなかった。
「なぁ、良。おれたちはお互いのこと、何を知ってる?
おれは何も知らねえよ。お前が今どんな生活をしてるのか、どんな彼女と付き合ってるのか、毎日どんなことを考えて生きてるのか・・・・。
なぁ、良、答えろよ」
菊地は静かに、だが、圧迫感を感じさせるような口調で言った。
良はベットに仰向けに寝転びながら、そんな菊地の話を天井を見つめながら聞いていた。
「おれも、今お前が言ったことをずっと考えてた。
情けないよ・・・・。
友達に、何よりも大切な友達に、自分のことをまったく言っていなかった。
ダサイ部分をぶっちゃけれなかった。
友達に自分が悩んでいることを話すのが格好わるいと、腐ったプライドにこだわって言えなかった・・・・」
良は言った。
目に映っていた天井が波打つ。
両方の目から、一筋の涙が溢れ出していた。 |