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scene くすぶる日々
第1話「ガキではない5人になり」 |
ミーンミンミン、ミーンミンミン・・・・。
木に蝉が張り付いている。いや・・・・、あれはカブトムシか。
うだるような夏の暑さだった。
情円市霞町の夏。
太陽はもの凄い勢いで熱を発散している。
ちんちくりんの短パンに、土にまみれ汚れたTシャツ姿の少年たちがワイワイ、ガヤガヤと周囲を山に囲まれた川辺ではしゃいでいる。細めの少年たちはそこら中を走り回り、一人のデブの少年は堂々とちんこをかきむしっている。
近くのまったく舗装されていない道路では、腰の曲がったおばあちゃんが竹ほうきで道路をささっと掃き、水をまいていた。
吸い込まれそうな大きな青空、これほどか! と言わせるほどの圧倒的な太陽のパワー、目の疲れを癒してくれる真緑溢れる山々、静かな田舎町に流れる耳に心地よい音を奏でる川、茶色い土、そして何よりも輝いている少年少女たち・・・・。
夏は少年たちの季節だ。でも、そんな季節も時の流れとともに変わって行く。
菊地、萩原、良、永川、加藤の5人が霞高校を卒業して、はや5年が経っていた。
2005年、夏。
萩原と良の電話で5人は約2年ぶりに会うことになった。
霞町唯一のファミリーレストラン「SHOCK FOOD」で夜の10時に待ち合わせることにした。
待ちに待ったこの日・・・・。
萩原は溢れてくる興奮とうれしさを隠しきれないでいた。
「なんせ2年以上ぶりだもんな。あいつらどうなってるんだろう?」
高校の頃は毎日のように会っていて、言えばウザク感じる日もあったほどに遊んでいたのに・・・・。あの頃はそんな毎日がずっと続くと思っていた。
でも、高校を卒業し、5人の進路はバラバラになった。たったそれだけで会う回数は極端に減った。
卒業をした春に一回、その一年半後に一回、年を経るごとに回数は減り、今回会うのはなんと2年ぶりだった。
5人揃って会ってメシを食うだけが、えらく遠い。
一週間前、萩原は良に電話した。
「もしもし、良か」
少しの間があった。もしかしたら少しの間もなかったかもしれないが、気持ちがそう思わせたのかもしれない。それほどひさしぶりだった。
手に変な汗が浮かんできている。
「ひさしぶりだな、萩原」
いつもの話し方だった良の返事を聞いて、萩原は少し落ち着きを取り戻した。
「元気だったか?
みんなとは連絡取ってるのか?」
萩原が言った。
「取ってないよ。取ってないし、みんなからの連絡もなし」
「おれも同じく、だ」
萩原が受話器越しにかすかに笑うと、良もクスッと笑った声がした。
「けど、何でだろうな?」
良が言った。
「何が?」
「いや、みんな何で連絡してこないんだろうなって。まぁ、おれもだけど・・・・」
そう言えばそうだ。誰からも会おうぜの一言がない。
けど、萩原にはその理由がここ最近、なんとなくわかってきた気がする。
「待ってる。みんな、連絡を待ってる。
恥ずかしがり屋が多い・・・・んだろうな」
「ハハハハ! だな、そうだな」
良も、おれもそう思ってたんだ! とでも言うように、受話器越しから笑い声が聞こえてきた。 |
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