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second
scene くすぶる日々
第3話「再会」 |
二十歳を過ぎて一年一年経つごとに、背中がいい意味でも悪い意味でも、重たくなってきている。
現にわかりやすかったのは、菊地からのメールの返事がなかったことだった。
確かに、今のあいつはいそがしい。適当にバイトをやってフラフラしていたところを、近所の中学時代の友人に誘われ土建屋をやっているのだが、朝から夕方までは現場、その後深夜までは事務所に帰って事務的な処理をやっている。
家に帰るのは日付が変わるちょうどその頃。そんな日を日曜日以外の毎日続けているのだから、メールを返せないのも理解にたやすい。
コーラとポテチを用意してのAV鑑賞、オナニーすらままならない生活だろう。
昔なら嫌なら辞めていた。でも、今は仕事に対してさえも自分なりの責任感が生まれている。
明らかに、毎日の日々はあの頃と違っていた。
明らかに、もうあの頃のように自由じゃなかった。
何故、親友たちは2年もの間会わなかったのか?
喧嘩していたわけでも、深い理由があったわけでもなく、それが答えだった。
仕事に追われ、時間に追われ、日々を過ごしている。生きていくこととは、大人になるとはそういうことなんだ、と言われればそれまでだが、どこか生きてる心地がしなかった。
少年たちの心は、いつしか知らない間に何か見えない大きな力によって変えられようとしていた。
夏の夜。
イルミネーションと車のヘッドライトに照らされる、茶髪、ミニスカート&タンクトップの肌を曝け出したGALたちの姿は眩しい。
「SHOCK FOOD」の駐車場に現れた萩原の髪の毛は短く、その色はアッシュになっていた。ジャストサイズより少し大きめの汚れたジーンズの前ポケットに両腕を突っ込みフラフラと歩いている。店には入らず、駐車場で良の車、黒のオデッセイを探し、見つけたところで寄って行った。
「おー! ひさしぶりだな」
萩原はまだ自分の存在に気づいていない、車の中の良に言った。
少し窓を開け煙草を吸っていた良はそう言った萩原に気付き見て、少し驚いた表情をした。
以前、2年前に会った時よりも萩原の感じが変わっている。
でもすぐに、「あぁ」とあの頃と変わらない返事と表情をした。
ミンミンゼミの泣く声を耳にした。
嫌でも夏を感じさせる。
暑いな、夏は・・・・。
萩原は良の車の助手席に乗った。まだ他の3人は来ていないようだった。いや、2人か。菊地からの返事はあの後もなかった。
菊地は今日来るのだろうか?
良の車の車内はいい匂いがし、冷房が適度に効いている。
「この車、禁煙?」
萩原が気を使って良に尋ねる。
「はぁ? んなワケねえだろ。バンバン吸っちゃっていいよ。
それより何だ、何食ってんだ? その棒は?」
萩原の口から白い棒が飛び出ていた。
「あぁ、これ?」
そう言って口から取り出したのはチュッパチャップスだった。
「ガキか、お前は」
「うまいんだって、この味は。チェリー味」
萩原はチュッパチャップスを口に含みながら煙草に火を付け、スモークがかっている自動のドアの窓を外の景色が見える程に開け、ふぅ〜っと煙を吐いた。
じっとりとした夏の暑さがすぐに顔の肌に当たる。
良と会うのも2年ぶり。菊地たちとも同じだけ会っていない。
高校を卒業して5年。萩原は、5人は23歳になっていた。
「ひさしぶりに会うとやっぱりあの頃を思い出すなよな」
萩原は外を見ながら、懐かしそうな、また悲しそうな目をしながら、そうつぶやいた。
「あぁ、ほんとだな」
しずかに良はそう言って、シートを倒した。 |
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