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  first scene「未成年」(全28話)
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  ■second scene
「くすぶる日々」(全26話)
  第1話  「ガキではない5人になり」
  第2話  「大人ということに追われ」
  第3話  「再会」
  第4話  「わからない感情」
  第5話  「照れくさいな」
  第6話  「バカなところは変らない」
  第7話  「深夜のファミリーレストラン」
  第8話  「夢か友達か」
  第9話  「夕暮れに向かって走る電車の中で」
  第10話  「夢の裏側」
  第11話  「ひとりぼっち」
  第12話  「背中にはいつも悲しい夕暮れがあった」
  第13話  「ディスコ」
  第14話  「で、どうするんだ、これから・・・・」
  第15話  「ホステスの女との生活」
  第16話  「ヒーローは遅れてやってくるもの」
  第17話  「あの頃の菊地」
  第18話  「自分が生きる理由」
  第19話  「やりたい仕事が見つからない」
  第20話  「旅」
  第21話  「2年前、前回の5人」
  第22話  「萩原が外国で見つけたもの」
  第23話  「言えない菊地」
  第24話  「情けねぇ」
  第25話  「23歳までの5人の生活」
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second scene くすぶる日々
第8話「夢か友達か」

 永川は高校を卒業した後、隣県の音楽専門学校に入学することが決まっていた。
 卒業の悲しさや寂しさはもちろんあった。高校の時は当たり前だった、毎日5人で楽しかった時間はなくなる。そんな考えが心をよぎるとせつなく、心が締め付けられるように悲しくなった。
 が、彼には好きな音楽を追求しにいくこれからの日々に大きな希望もあった。
 卒業してから入学までの日々は朝から晩までバイトづくめ。専門学校入学に向け、稼いだ金で20万円を超えるベースを買うためだった。

 自分の音楽のセンスはいかほどなのか?
 どれだけスゴイやつらが集まっているのだろうか?
 ワクワク、ドキドキ・・・・。
 新しい世界へ突入していく時に誰もが感じる、不安と希望が重ね合わさった何とも言いがたい高揚した気持ちでいた。
 しかし、そんな永川にも考えなければならないことがあった。それは、自分が属していた菊地を中心とするバンドのことだった。

 卒業ライブは同級生、下級生関係なく多くの仲間で盛り上がった。萩原や他校の奴らは下級生たちから襲撃に遭うほどに暴れ回ってくれていた。
 永川はあの日、純粋にうれしかった。
「これがバンドなんだ、これがライブなんだ・・・・」
 初めて痛感した思いだった。
 自分の気持ちを歌うだけが目的じゃない。人前で演奏できることがすごいんじゃない。
「目の前にいる、この人たちと今、同じ瞬間を生きてる」
 そのことにとんでもない武者震いを感じ、うれしかった。

「でも、・・・・」
 今、考えなければならない問題がある。それは、永川はバンドを、ライブを、違う形でやりたいと思っていた。卒業ライブのずっとずっと以前から思っていたことだった。
 永川は菊地たちとのバンドを抜けたいと思っていた。
 理由は音楽性の違いだった。永川がやりたい音楽はメロコアで、菊地たちとのバンドでやっているビジュアル系バンドをこれ以上続けるのは嫌だった・・・・。
 だからといっても、友達との関係もある。これまで永川は自分がやりたいからといってそんなに冷たくはなれなかった。
 卒業ライブを経て、その思いはさらに重たくなっていた。

 そんな気持ちのまま、永川は入学式を迎えた。
 もちろん、入学式は同じ専門学校へ入学する菊地と一緒に行った。

 バンド単位で考えるのではなく、永川個人の考えでは、将来に関するシナリオは出来上っていた。専門学校で作曲や編曲の知識を得る。同時に音楽性の合う仲間たちを見つけてバンド活動をやっていく。そして、専門学校を卒業して後、どこかのレコード会社と契約できればいい、そんな感じだった。

 入学式は専門学校近くのホールで行われた。1000人収容の大きなホールだった。
 新しく作られたばかりなのだろう、建物はキレイで無機質な感じがした。長年多くの人たちに愛され使われている高校の体育館や霞町公民館とは違い、まだ人間の匂いが一つも付いていない。
 そのことに永川は少しひんやりとした冷たさを感じた。
 そのホールの中、今自分と同級生の奴らが800人いる。スーツ着用が決められていたからみんな一様にスーツを着ているが、そのほとんどはオフィスタウンや電車などで見かけるリクルートスーツとは別次元のモノで奇抜だった。
 白のスーツを着ている奴もいれば、襟の部分がほころびたデザインになっているスーツを着ている奴もいる。
 しかし、それでもまだ普段の彼らよりは社会的に見えるのかもしれない。私服ではなく、何はともあれスーツだったからだ。
 それに対し、何も言われなかった髪の毛はまさに自由そのものだった。普段通りなのだろう、髪の毛のセットや色にそれぞれの個性がにじみ出ていた。

 入学式の間、永川は初めて出会う希望に満ちた表情をしているそんな同級生たちを見ていて、希望が膨らんだ。だが同時に、複雑な気持ちも永川の中で渦巻いていた。
「友達か夢か・・・・。
 なぁ、おれはどっちを選べばいい?」
 永川からすれば選ぶことのできない、最悪な選択だった。なぜなら、どっちを取っても自分はつらい思いをすることがわかっていた。自分を取れば菊地たちバンド仲間に対して、菊地たちとのバンドを取れば自分に対して・・・・。
 でも、そんな中でも、菊地にとっても自分にとっても一番いいのは、とにかく早く決断することだと思っていた。

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