4人はSHOCK FOODで2年ぶりの話をしていたが、誰もこれまでの自分のことについて深くはしゃべらなかった。
永川はバンドについて「順調だけど、もっとがんばらなくちゃ」としか言わなかったし、良は「スロットは稼げる」というようなことしか言わなかった。加藤も「大学のコンパは飽きた」なんて言っていた。
本当はもっとくすぶっていたのに・・・・。
4人がSHOCK FOODに来て、2時間以上が経っていた。
萩原の携帯が鳴った。
「はい、もしもし。
おぉー、菊地か」
しゃべっていた3人は口を止め、萩原の方を向く。
その3人を見て、萩原は受話器に向かって言った。
「おい、みんな待ってるぞ。忙しいのか?」
3人は、萩原が「うんうん」と受話器に向かってうなずいているのを、黙って聞いていた。
「あぁ、わかった。うん。じゃあ、もうちょっとここにいるわ。
場所、分かるよな? うん、そう。了解」
萩原が電話を切ったと同時に、永川が言った。
「来れるみたいだな」
笑顔だった。
「あぁ、あと30分くらいで着くってさ」
カランカランと店の入り口のドアに付いている鈴が鳴った。見ると、菊地だった。
「よぉ、遅せえよ、お前!」
「ヒーローは後からやって来る、とか流行らねえんだよ」
みんな申し合わせたように次々と菊地をバッシングで迎えた。
「悪ぃ」
菊地は照れたように俯き加減でかわいく言った。
変っていた。菊地の外見は驚く程に変っていた。
あれほど外見を気にして、髪型一つ決まらないだけで機嫌を損ねていた高校時代の菊地とは明らかに違った。
まず髪は短髪になっていて、ビジュアル系のミュージシャンを思わせる華奢な身体付きは、見違える程にマッチョに変っていた。いや、マッチョは言い過ぎか。でも、ボクサーのような細身のきれいな筋肉質の身体つきになっていた。
そして何より、この夏のクソ暑い時期に朝から日暮れまで現場に出ているのだろう、日焼けがすごかった。
それ以上に服装は笑ってしまうほどに変っている。
以前は黒しか着なかった菊地が、永川のようにジーパンにシンプルな白のTシャツを着ていたのだ。
まるで、LUNA SEA時代の河村龍一がソロになった時のようだった。
足下も茶色のスニーカーで、黒いものはどこにもなかった。
「変ったなぁ、お前」
良が半笑いの表情で言った。
「そうか?」
当の本人の菊地は何気ない顔で自分の全身を見、言った。
「バカ、誰から見たって変ってるよ」
萩原がプププと笑いを吐き出しながら、言った。
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