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third
scene 友達の死
第2話「狂気の顔」 |
高校を卒業してからの加藤の生活は、大学を卒業した後もずっと変わらなかった。
大学を卒業した後、加藤は本当なら家から一歩たりとも外へ出たくなかった。
が、親に言われ急かされ、また仲間である菊地や萩原が仕事にがんばっているという事実に急かされるように、パチンコのホールスタッフのバイトを週5回勤務で続けていた。
バイトで働く時間以外はほとんど家にいた。
バイト仲間が仕事終わりにみんなでメシを食いに、酒を飲みに行っても、加藤は行かなかった。
始めは誘ってくれていたが、今では、誘ってくれることもなくなった。
そりゃそうだろう。何回誘っても無愛想に理由もなく断る奴には誰だって愛想をつかす。
そんな状況は、自分の思いとは正反対にも関わらず・・・・。
毎日、バイトを終えタイムカードを押した後、何かに急ぐかのように家へと向かう加藤。
そんな加藤の姿をバイト仲間たちは背中越しに笑った。
「あいつ、ほんと寝暗だよなぁ」
「あんなに急いで家帰って、いったい何やってんだろな?
どうせ、たいしたことじゃないだろうけどな、ハハハハ!」
女の子はこうまで言った。
「なんか加藤君って気持ち悪いし、恐い」
日が暮れ始めると、通りを歩く人たちはコートの胸元をキュッと閉める。
吹き抜ける風は、涼しくはなく、冷たい風になってきている。
加藤の心もまた、そんな冷たい風に締めつけられていた。
加藤は家に帰るとすぐに二階の自分の部屋へと向かった。玄関でただいまと言う以外、最近ではほとんど親ともしゃべっていない。
「ご飯はー?」
「バイトの奴らと食べてきたからいらない」
毎日のように居間には顔を出さず、帰って来るなりそう言いながらそそくさと二階の自分の部屋へと階段を駆け上がって行く。
部屋に入り、電気を付ける。
が、加藤は天井につり下げられた電灯のヒモを、もう2回引っ張って豆電球だけの暗さにする。
いつの頃からだろうか、おそらく大学を卒業してからだろう。
いや、風俗嬢のみきちゃんが加藤の前から消えてしまってからかもしれない。
バッグを床に投げ出すと、加藤は机を見、向かった。引き出しのところに「6・3・3で12年 田中学習机」という企業のキャッチコピーのシールが張られている。小学生の頃から使っている机だろう。
加藤はデスクの上にあるパソコンの電源を入れた。
「返事来てるかな・・・・」
声にならないつぶやきで加藤は一人ごとを言った。
カタカタカタと、手慣れた手つきでキーボードを叩く。
お気に入りに設定しているメル友サイトへアクセスした。
買っていた缶コーヒーを上着のパーカーのポケットから取り出し、パクッと開けて一口飲んだ。
煙草も取り出して一服する。
ふぅ〜・・・・。
パソコンの画面だけの光で、暗闇の中で照らされた加藤の顔は狂気じみていた。
オレンジ色の豆電球だけが灯る薄暗い部屋の中で、背中を丸めながらじっとパソコンの画面を見つめている。
時折、「あっ、返事来てる」とささやきながら。
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