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third scene 友達の死
第5話「持ってはいけない嫉妬心」


 高校の時、良が何人かの女の子たちから告白されているのを見たことがある。
 バレンタインデーの日、毎年良は何かしらチョコレートをもらっていた。誕生日の日、毎年何かしらプレゼントをもらっていた。

 そんな時、良は苦笑しながらいつもみんなにこう言った。
「めんどくせえなぁ。おれは女より友達だって」

 実際、5人揃って一緒に下校している時、「良先輩、一緒に帰ってもらませんか?」と1学年下の「かわいい娘」で有名だった女の子が、見るからにそんなことを言いづらい雰囲気のおれたち5人のところに来て、勇気を振り絞って良に言ってきたことがあった。
 その時、良は、
「無理。友達と帰るから」
 とだけ言って冷たくあしらった。

 みんなから「お前、一日くらい一緒に帰ってやれよ」というヤジが飛んだが、良は「嫌だね」と素で言った。

 そんな良を加藤は好きだった。
 あの時、そこまで友達思いの奴がいるか、よくそう思った。自分だったらあんなかわいい年下の女の子から「一緒に帰ってくれませんか」なんて言われたら、満開の笑顔になってすっ飛んで行くという思いがあったから。

 あの頃はそんな純粋な思いだった。でも、今こうやって一人でいて、暗い部屋の中で考えていると、自分は良に対して遠さを感じ、嫉妬心さえ抱いているのがハッキリとわかった。

「いいな、あいつは・・・・」
 胸がすごく苦しかった。

「萩原、あいつも外国に旅とか行ってすごく楽しそうだったな・・・・。
 今は何やってるんだろう? 電話してみようかな・・・・」
 そう思って携帯電話を見ても、加藤はかけたことは一度たりともなかった。

「かけて何を話す? 元気? とか、今は何やってんの? とか聞くのか?
 何か自分がへこんでいるのがバレそうで嫌だな・・・・」
 そんな思いが頭の中をよぎった。

「萩原はいつも楽しそうだよな。楽しいんだろうな、毎日・・・・」

 良に対して感じる感情と同じだった。あの頃、高校の頃から良にしても萩原にしても、感じることは何ら変わっていない。
 良には「かっこいいよな、モテるだろうな」って思いがあった。
 萩原には「楽しんでるよな、いつも」って思いがあった。
 ただそれだけだったのに、今は二人に対して嫉妬心を抱いている。
「いいよな、萩原は毎日楽しそうで・・・・」

 永川にしても、菊地にしても、同じように嫉妬がある。
「永川は夢があっていいよな。
 菊地は何であんなに存在感があるんだろう・・・・」
 嫉妬心が先に立つばかりだった。

「みんな、今のおれみたいにパソコンに向かって擦ってる奴なんていないだろうな。
 何やってるんだ、おれは・・・・。
 すごく、寂しい・・・・」

 4人に対して、会えないという状況の遠さだけでなく、心が遠く感じた。

 それは加藤にとって、みきちゃんが飛んだことは比べ物にならないほどに、心に傷をつける悲しいことだった。


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