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third
scene 友達の死
第6話「夜風が冷たかった」 |
秋の霞町での神社の祭りに、5人はSHOCK FOOD以来に出会った。
夜の暗闇の中でぼんやりと薄暗く灯る提灯が、その場の雰囲気を優しくしている。
「菊地登場。
相変わらず周囲の視線を一気に集める奴だ」
良は隣にいる萩原に笑いながらそう言った。
少しまた以前の菊地ファッションに戻ったようだ。
黒のパンツに、光沢のある黒のシャツを合わしている。
まるでホストだ。
神社には田舎くさい格好をした子供たちや家着そのまま出て来たような家族連れでいっぱいだった。菊地は明らかに周囲から浮いている。
「お前さぁ、TPOっての知らねえのかよ」
萩原が言った。
「早いな、お前ら。他はまだ?」
菊地はそんなセリフは意にせず、言った。
「早い? もう待ち合わせ30分過ぎてんのに。
永川と加藤は家近いからまた一緒に来るんだろ、一時間遅れて。いつものことだ」
萩原が苦笑しながら言った。
「そっか。何か腹減ったな」
菊地はそう言って周囲を見渡した。
テキ屋が10件ほど出ていた。
たこ焼き、ソーセージ、お好み焼き・・・・、とある程度定番の店は出ている。
「あいつら待つ? 先にちょっと食わねぇ?」
菊地少し笑ってそう言うだけ言って、一人でテキ屋へと向かって行った。
加藤と永川が来たのは、やはり待ち合わせ時間を一時間過ぎた頃だった。
永川は以前会った時とほとんど変った様子はなかった。加藤に対してもそう思った。
けど、加藤に関しては表情を見る限りどこか冴えない。疲れているようだった。
「よぉ、またまたひさしぶりだな」
永川が照れくさそうに言った。
「おぅ。元気だったか」
萩原が言った。
「バンドはどうなった? がんばってんのか?」
良が聞いた。
「まぁな・・・・」
永川はそれだけを言った。
「全然うまいこといってない」という正直なその思いはなかった。
「加藤、ひさしぶりだな」
菊地が背後から加藤の肩に右手をぐるりと回し顔を近づけながら言った。
「えっ、う、うん。
パチンコ屋のバイト続けてるよ」
そう言った加藤の表情は、誰の目から見ても明らかにぎこちなかった。顔が引きつっている。
「何かあった?」
菊地はクッと左目を上げ、深刻な表情にならず、やさしい笑顔でそう聞いた。
みんなも同じことを思った。
自然と視線が加藤の方に集まった。
「な、何が?」
「何がって、何かお前、いつも以上にぎこちないし」
「ほんと?」
加藤はそう言って、煙草を取り出した。
パッケージから一本抜こうとするが、抜けない。
無理矢理取り出したが、加藤はその煙草を地面に落とした。
「何で緊張してんだよ」
横から永川が笑いながら言った。
「き、緊張してないって、何言ってんの?」
加藤は少し怒りながらの口調で言った。
「わかった、わかった。
さてと・・・、今日は何しようか?」
怒った感じの加藤をなだめるように、永川が言った。
秋の風は冷たい。心地よく感じる時もあるが、この時は異様に冷たさを感じた。
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