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third scene 友達の死
第9話「リーダー

「アメリカへ行こう、みんなで」

あのセリフを萩原ではなく、もし菊地が言っていたとしたら、今頃は5人揃ってアメリカに居てたかもしれない。
そう言うのは、別に萩原が他の連中のことを真剣に考えてなく、自分のやりたいことをみんなに付き合わせようとしているだろうと思われていたからじゃない。
また、4人が萩原に対して、「くすぶってない奴はいいな」とある種の遠さを感じていたからでもなかった。
確かに、この頃の萩原はみんなと会っても自分の話ばかりをし、他の奴らからすれば自分のことばかり考えている奴に見えたかもしれないが、4人にとってはかけがえのない、何よりも大切な親友には違いなかった。

菊地なら・・・・、という理由はそうじゃない。

やはりこの5人を動かせるのは菊地だけだった。
永川でも、良でも、加藤でも無理だった。

高校の時、人見知りで周囲からは嫌われ者になりがちな異色の5人それぞれを集結させたのは、何より菊地という男の存在だった。菊地がまるでコンパスの軸で中心に円を描くように5人は集まった。そしてまた、卒業してからも数える程しか会っていないが、その全ての時間で菊地はみんなにやさしく温かかった。
それはみんなが絶対的に感じていたことだった。

彼が高校時代に身近にいた人たちの死を通して感じたことが、内から素直に外へ溢れ出ていた。
菊地が「あいつらのそばにいたい」と思えば思うほど、他の奴らは「菊地のそばにいたい」と思うようになっていた。
これまで会おうとするたびに、誰が言うまでもなく、「菊地がいないなら今回はパスするか」そんなことが何回もあった。
そのことがそれぞれの心の中で菊地あっての5人であることを証明していた。

5人はいつも心のどこかでリーダーであった菊地の言葉を待っていた。
あの時、萩原ではなく、いや他の誰でもなく、菊地が「アメリカへ行こう、みんなで」と言っていたら、事態は変っていたかもしれない。

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