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third
scene 友達の死
第14話「夢」
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萩原は堤防に座って幅50mある川を心ここにあらずで眺めていた。
紅葉していた木々は、枯れ始めている。
波のない静かな川は、夕日の方向にゆっくりと流れていた。
いつものバカな萩原はどこにも見当たらなかった。
少年たちが近くでサッカーをやっていて、萩原の方にボールが飛んで来たが、
気付くことすらなかった。
いつもの萩原なら、「おれも交ぜてくれよ!」なんて笑顔で言って
少年たちと無邪気に遊んだりするはずなのに・・・・。
アルバイトには行っていた。
もちろん、行く気なんてしなかったが、家で一人でいると、アブナイ気がした。
加藤の顔が、加藤の声が、そして、加藤の匂いが、
全ての感覚を通じてリアルに思い出される。
しかし、思い出すのがつらいからといって忘れることなんてできない。
萩原は加藤の死を知ってからずっと、家にいても、アルバイトをしていても、
歩いていても、加藤との出会いからの日々を思い出していた。
めちゃくちゃ楽しい高校時代があった。
嫌いなはずの学校が5人で一緒にいると最高のもののように思えた。
そして、卒業ライブ。加藤と自分だけは客席からで、むちゃくちゃに騒いだ。
あの時の横で見た加藤の笑顔は一生忘れることなんてできやしないだろう。
そして、大人になっていった。みんなで会う機会はなくなっていった。
加藤が書いた遺書。「おれ、大人になれない、一人で生きれない」
加藤は寂しかった。おれたちと会わないことで一人になってしまった。
「何故、そんなことに気付いてやれなかったんだ・・・・」
加藤の遺書のことを思う度、萩原は何度も何度も同じことを思った。
そして、加藤の死を思えば思うほど、萩原はある一つのことを考えるようになった。
今、堤防から川を見つめながらずっとそのことを考えている。
大きくて肉眼では流れの見えない川は、まるで死んでいるように見えた。
「おれは、卒業ライブやその他のいろんな時間で何度も、
『5人でなら死んでもいいな』なんて思った・・・・。
何故だかわからないが、おそらく5人でいる時間が輝いていたからだろう。
5人でいると、全てが満たされている感がずっとあった。
だから、おれは高校卒業後、みんなでずっと一緒にいれる場所を作ろうと考えた。
5人となら死んでもいい、そこまで思っていたから・・・・」
萩原は手に取っていた石コロを川へ放り投げた。
ポチャン・・・・。
川に落ちた石は放物線を描いて消えた。
「いつか夢に見たことがあったよな。
5人で外国の海へ行ってビーチで花火をやって、
みんなそれぞれが『これ以上幸せなことはない』って海に入って死んで行く夢・・・・」
この夢を見た時、萩原は起きて、思い出して苦笑した。
あり得ない、そう感じたからだ。確かに、5人で外国で生活して、
自分たちのやりたいことをやりまくって、
そうやってみんなで絵はがきのような美しいビーチに寝転がり、語り、
また花火なんかやって騒いだらそう思うだろうな、
なんても思ったが、現実離れしていた。
5人でなら死んだっていい・・・・。
そこまでの思いは、萩原特有のプラスの意味では思っていたことは確かだ。
だが、今の萩原はそのことを深く、真剣に考えていた。
死というものに、完全に取り憑かれていた。
「常に5人で一緒にいたい」
萩原が高校を卒業してから思っていたことはただそれだけだった。
しかし、そんな思いは加藤の死によって死へと向かっていた。
冷たい風が吹いていた。
それはもう秋の風ではなかった。冬の厳しい風だった。
(了)
THIRD SCENE「友達の死」全14話 完
TO BE FORTH SCENE「青春の輝き」.... |
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