情熱の言葉
「見知らぬ風景」
<2008.4.6更新>
スウェットをはき、
ロンTを着て、
その上にジャージをはおる。
4月。
川の堤防沿いには桜が咲いている。
近所のガキが仲間たちとふざけあい、
はげたおっさんがパッチ、サンダルで家の前を竹ぼうきで掃除している。
18時になった。
4月の18時。
空の色は青から、赤みがかってきていた。
「チャリに乗って、いつもとは違う銭湯でもいこか」
なんかそんな気分になった。
いつもはめんどくさいとか、遠いしとか、いろんな理由をつけて、怠けて、よく知っている、見慣れた風景しか見ない、最近のおれが。
いつもとは違う、初めていく銭湯についた。
いつもとは違うおばちゃんに金を払い、いつもとは違う脱衣所で、いつもとは違う風呂場へ向かう。
いつもとは違いすぎて、間違って女湯に入ってしまったミスは置いておいて。
古き良き昭和の匂いが香る民家のなかにある銭湯。
その銭湯を出て、おれは耳にイヤホンをつけ、かなり暗くなり始めていた空を見てひとつ思ったことがあった。
「旅やな、これ。旅って、おれは遠い遠い外国に行くことやと思ってた。
けど、今、おれは外国旅してた時と同じ感覚、感情になっている。
見知らぬ風景を見る。
これが旅なんちゃうんか?
いつもと違うことをやるんじゃなく、いつもと違う風景を見る。」
最近、おれめちゃ思うことがあんねん。
人生、誰かに勝つとか、目標を叶えるとか、そんなことも大事やけど、そんなことよりもっと大事なことは、
「あー、生きててよかったー」そう思える瞬間が1年に1回、5年に1回、10年に1回、どんな頻度でもええから、そんな瞬間をもつことじゃないかなって。
何でそう思うかって、
なんかさ、その瞬間、それまでのめっちゃつらいこととか、めっちゃへこんだこととか、めっちゃ悩んでたこととか、一気に吹き飛んでん。
おれが初めて行った見知らぬ風景にあった銭湯は、チャリで10分のところにあった。
ただ、そんな小旅行が、飛行機に乗って何十時間もかかる外国への旅と同じ感情を抱かせてくれた。
見知らぬ風景を見よう。
人生は豊かになる。
マル 2008.4.6